研究・技術開発紹介

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2016年8月30日

底質表層の汚染除去技術「SEND工法」の開発 -水底に堆積する汚染底質を、超薄層・無濁で除去できる環境薄層浚渫工法-

背景

閉鎖性水域では、有害化学物質や放射性物質による底質の汚染が問題になっています。これらの底質は一般に粒径が小さく、水底の表層に薄く堆積する傾向があります。

汚染底質を浚渫して除去する際には、汚濁の拡散防止・浚渫後の処理量の抑制・水深が深い場所への適応・水底に沈んでいる異物への対応などが求められます。

環境薄層浚渫工法「SEND工法」

SEND工法は、従来のグラブ式環境浚渫工法(END工法)に、掘削土の吸引回収機構を加えた、表層汚染の除去に特化した新しい環境浚渫工法です。

本工法は、起重機で吊り降ろしたグラブバケットで底質を掘削し、密閉されたバケット内を撹拌して底質をスラリー化し、バケットを水底に留めたまま水上にスラリーを移送して底質を回収するものです。このユニークな方式の実現のために、密閉性に優れたバケット・効率的な撹拌方法・END工法から進化した浚渫制御技術などを開発・採用しています。

※特許出願中

SEND(現場)

SEND工法

SENDバケット

SENDバケット

 

※こちらの動画で通常のグラブ浚渫とSEND工法との違いをご覧いただけます

■通常グラブ浚渫

■SEND工法

 

特徴

①余掘りが少ない薄層浚渫

グラブ式のため掘削水深に制限がなく、掘削形状はEND工法と同様に平坦です。浚渫中は水上へのバケット昇降が不要であり、水圧センサー+4Dソナーによる正確なリアルタイム深度管理で、厚さ15cmの極めて薄い層厚で浚渫が可能です。

②密閉吸引による汚濁防止効果

密閉されたバケット内で掘削土を撹拌して吸引・回収します。バケットに密閉確認機構を装備し、循環流方式の撹拌を採用することで、汚濁が外部に漏出しません。バケットの昇降で生じる水域の攪乱や土砂の落下がなく、浚渫工程中に全水深で濁度ゼロとなる浚渫を実証しています。

③高度なスラリー管理による余水低減効果

吸引前にあらかじめ無加水で撹拌(バケット内の水だけで撹拌)して掘削土をスラリー化しておき、吸引はバケット内の濁りをリアルタイムで検知して管理します。これにより吸引時間を大幅に短縮し、吸引中の外部からの水の取込みを削減しています。浚渫土は高濃度の泥水となり、一般的な吸引式薄層浚渫の3~5倍の含泥率(END工法との比較で1/2程度)を実証しています。

④グラブ式+バッチ吸引による異物への対応

バケットが掴んだ異物は、撹拌・吸引により表面に付着する汚染粒子が除去されます。バケット内のスクリーンでトラップされた異物は、吸引後のバケット開放により水底に存置されます。バケット内部に異物が累積しないため、一般的な吸引式薄層浚渫で問題となる吸引機構の閉塞トラブルが生じません。石・枝葉・ビニール等が混入しても、問題なく浚渫できることを実証しています。

⑤優れた浚渫効率と泥水処理の低コスト化

END工法と同じワイド開閉機構を持つバケットは掘削面積が広く、広範囲を効率的に掘削できます。循環流方式の撹拌は混合力が大きく、短時間でスラリー化が可能です。また、非昇降式の揚土により、水深が深くなるにつれて効率的な浚渫になります。水深-7m以深では、END工法より短いサイクルタイムを実現しています。浚渫土の含泥率が高いため、余水処理工程でのコストダウンも期待できます。

SEND工法の浚渫サイクル

SEND工法の浚渫サイクル

今後弊社では、様々な底質汚染を対象とし、現地試験を通じて本工法の適用性拡充を図る予定です。本工法の運用を通じ、五洋建設は水環境の回復に貢献していく所存です。

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