研究・技術開発紹介

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2016年8月30日

地上躯体に使用可能な中品質再生骨材を用いたコンクリートを実用化-循環型社会の形成へのさらなる貢献を目指して-

 

再生骨材を利用したコンクリートとは

「再生骨材」1)とは、天然骨材(砂利・砂など) の替わりに構造物の解体材(コンクリート塊)をコンクリート用骨材としてリサイクルした材料です。再生骨材を用いたコンクリート(以下、再生骨材コンクリート)は、解体材から原材料を供給するため(図-1)、天然骨材の使用量を削減することができ、地球環境への負荷低減を図ることが可能です。これまで再生粗骨材M(中品質)1)を用いたコンクリートの適用範囲は、耐久性の点から、乾燥収縮の影響を受けにくい場所打ち杭や地下躯体などに限定されているのが現状でした。

図-1 再生骨材コンクリートの製造方法

図-1 再生骨材コンクリートの製造方法

1)再生骨材:再生骨材の品質はJISでL(低品質)・M(中品質)・H(高品質)に規定されている。再生骨材の品質によって、適用範囲が異なる。

 

再生粗骨材を用いたコンクリートの実用化

当社は、株式会社東京テクノ(代表取締役 岡本利治)、および武蔵野土木工業株式会社(代表取締役 渡邉久美)とともに、乾燥収縮の影響を受ける地上躯体に中品質の再生粗骨材を用いたコンクリートを使用できることを確認し、再生粗骨材および再生骨材コンクリートの適切な品質管理方法を構築しました。そして、このたび、地上躯体に使用可能な中品質再生粗骨材を用いたコンクリートとして、国内初2)となる国土交通大臣認定を取得しました。本技術により、膨張材や収縮低減剤などの特別な混和材料を使用することなく、再生骨材コンクリートを地上躯体に使用することが可能となります。

本技術で使用する再生粗骨材は、JIS規格における「再生粗骨材M」に該当しますが、ロッドミルなどの機械的なすりもみ処理のみで製造した、やや品質の高い「中品質再生粗骨材」を使用しています(図-2)。また、耐久性を確保するため、場所打ち杭等に使用する際にも実施している塩化物含有量およびアルカリシリカ反応性に加えて「乾燥収縮に対する抵抗性」について、早期判定による品質管理を再生粗骨材1ロット(900ton)3)ごとに実施します(図-3)。これにより、膨張材や収縮低減剤といった混和材料を使用することなく、十分な耐久性を確保した再生骨材コンクリートの供給が可能となります。

 

図-2 本技術で使用する中品質再生粗骨材

図-2 本技術で使用する中品質再生粗骨材

図-3 乾燥収縮試験結果の例

図-3 乾燥収縮試験結果の例

 

2) 普通コンクリートの強度範囲(設計基準強度21N/mm2~36N/mm2)において
3) コンクリートの場合、通常は150m3を1ロットとして3ロットごとに品質判定するが、コンクリート1m3≒粗骨材1tonとみなし、今回の認定では再生粗骨材900tonを1検査ロットと設定している。

 

今回、大臣認定を取得した再生骨材コンクリートの特徴は以下の通りです。

① 特別な混和材料を用いることなく地上躯体に使用可能

再生骨材Mの区分でやや品質の高い「中品質再生粗骨材」を用いることにより、膨張材や収縮低減剤を用いることなく乾燥収縮の影響を受ける地上躯体に使用することが可能です。

② 乾燥収縮率の早期判定による品質管理法を構築

「建築工事標準仕様書・同解説 JASS5 鉄筋コンクリート工事」に記載された乾燥収縮率の早期判定を再生骨材コンクリートに適用できることを確認し、これに基づいた品質基準値を設定しました。

③ フライアッシュⅡ種を結合材の一部に使用

再生骨材コンクリートを使用するにあたって、アルカリシリカ反応抑制対策が重要となりますが、その抑制効果が認められているフライアッシュⅡ種を結合材の一部として使用することで、設計基準強度21N/mm2~36N/mm2のすべての範囲に対応することが可能です。

④ 普通骨材を用いたコンクリートと同等以下の価格

混和材料を使用していないことに加えて、加熱処理などを行わず、ロッドミルなどの機械的なすりもみ処理のみで製造した再生粗骨材を使用していますので、普通骨材を用いたコンクリートと同等以下の価格で供給することが可能です。

 

表-1 中品質再生粗骨材とJIS規格における再生粗骨材の品質基準値・製造方法・適用用途

表-1 中品質再生粗骨材とJIS規格における再生粗骨材の品質基準値・製造方法・適用用途

また、本技術で使用する中品質再生粗骨材の主な品質基準値、製造方法および使用部位は表-1の通りです。参考として、同様に再生粗骨材H(JIS A 5021)、再生粗骨材M(JIS A 5022附属書A)および再生粗骨材L(JIS A 5023付属書A)についても併せて示します。

これまでに再生骨材コンクリートの国土交通大臣認定を延べ11件取得しています。また、今回の3社の組合せでは、今回の地上躯体に使用できるコンクリートの他、場所打ち杭および地下躯体(2009年取得)、CFT造充填コンクリート(高流動コンクリート、2011年取得)についても国土交通大臣認定を取得し、出荷できる体制を整えています。

今後も、再生骨材コンクリートの普及を図り、廃棄物の有効利用ならびに循環型社会の形成に向けて引き続き尽力します。

 

公開論文:

・再生粗骨材Mを用いたコンクリートの上部躯体適用に向けた検討, 日本建築学会技術報告集, 高橋祐一・松田信広・竹内博幸,2016年6月

・再生骨材を用いた高流動コンクリートの実用化に関する検討, コンクリート工学年次論文集, 高橋祐一・竹内博幸・松田信広,2012年7月

・中品質再生骨材を用いたコンクリートの実構造物への適用,コンクリート工学年次論文集,松田信広・竹内博幸・高橋祐一,2009年7月

・再生骨材コンクリートの適用範囲拡大に向けた耐久性に関する研究, コンクリート工学年次論文集, 竹内博幸・高橋祐一・河野政典・山田雅裕,2008年7月

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