研究・技術開発紹介

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2017年4月14日

変形追随遮水工法(ClayGuard工法)を高度化 -土質系遮水材の主材料として石炭灰を有効活用-

背 景
陸上海上を問わず、管理型処分場の遮水構造基準は「一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める命令」(総理府・厚生省共同命令、1998年改正)により定められています。また、2007年には「港湾の施設の技術上の基準を定める省令」が改正され、廃棄物埋立護岸も港湾の技術基準の対象となり、信頼性設計に基づいた性能設計が求められることとなりました。
しかし、海面処分場の多くは沿岸部の厚い軟弱粘土層の上に建設されます。このため、沈下や変形の影響を受けやすく、また、常に波浪や潮汐が作用することから、陸上処分場の遮水技術をそのまま適用することは難しい状況にあります。そこで、遮水構造に変形追随性を持たせると共に、フェイルセーフ機能を付加できる土質系変形追随遮水材が注目されています。

※フェイルセーフ:1次遮水のバックアップ機能(2重遮水)、移流制御機能、検査・モニタリング機能、修復機能など、遮水工に不具合が生じた際の安全装置

 

 変形追随遮水工法(Clay Guard工法)とは
変形追随遮水工法(Clay Guard工法)は、浚渫工事等で発生する粘性土を主材料とし、遮水性を高めるためにベントナイトを添加混合した土質系遮水材(クレイガード材)を使って底面遮水工や側面遮水工を構築する技術です。このクレイガード材は粘性土の持つ可塑性を利用しており、クレイガード材に変形を与えても、ひび割れを生じることなく変形に追随するため、地震や廃棄物埋立による荷重により、地盤や護岸に変形が生じても、遮水性能を保持することが可能です。また、材料劣化がほとんどない無機材料のみで構成されることから長期耐久性にも優れることが特徴です。本工法は、管理型海面処分場の遮水工法として平成14年に実用化しており、平成28年現在、7つの海面処分場において合計約24万m3の施工実績があります。

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側面遮水構造への適用

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底面遮水構造への適用

 

変形追随遮水工法(ClayGuard工法)の高度化
石炭火力発電所から排出される石炭灰の有効活用に着目し、粘性土の代わりに石炭灰(フライアッシュ)を主材料としたクレイガード材の成立性について検討を進めてきました。
その結果、新たに開発したクレイガード材1m3当り、石炭灰を約600~700kg、ベントナイトを約200kg、重金属不溶化剤を石炭灰質量の3~10%添加混合することで、従来の粘性土を主材料とするクレイガード材と同等以上である10-9m/sオーダーの透水係数を実現すると同時に、石炭灰に含まれる重金属類の溶出も環境基準以下に抑制できることを確認しました。また、実規模施工実験を実施し、ポンプによる圧送、トレミー管による水中打設が可能であること、従来と同様の施工方法により、従来と同等の施工性が確保できることを確認しました。

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石炭灰を主材料とするクレイガード材

これらの検討結果を基に、一般財団法人沿岸技術研究センターが実施する港湾関連民間技術の確認審査・評価事業において、学識経験者からなる「平成27年度下期港湾関連技術確認審査・評価委員会」(委員長 善 功企 九州大学大学院工学研究院 特任教授)の確認審査および評価を経て、変形追随遮水工法(Clay Guard工法)の部分変更として、評価証を取得しました。

今後は、新たに開発した本工法を管理型処分場建設工事へ積極的に展開するとともに、建設業として安心・安全な社会を提供すべく更なる技術開発を推し進め、再生資源の有効活用、環境保全に大きく貢献してまいります。

 

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