研究・技術開発紹介

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2018年12月27日

「五洋土工情報収集システム(i-PentaCOL)」を開発

 ~多種多様なi-Construction機器の統合へ~

背 景

一般的なICT土工事では、バックホウやブルドーザの管理システム等、複数の重機や機器ごとに異なる施工情報を、職員がデータ収集し、管理を行っています。最近では、クラウドにデータを集約化し、独自ソフトウェアで多様なデータを統合する取組みが進んでいるものの、複数のクラウドを相互に連携して自動的にデータを集約するシステムはありませんでした。また、建設現場ではICT化の進展により職員が多数のシステム操作や管理に時間をとられることが新たな負担となっており、システム操作や管理に関わる時間の短縮が求められています。

 

五洋土工情報収集システム(i-PentaCOL)

「五洋土工情報収集システム(i-PentaCOL)」は多種多様なICT建設機器の情報を統合・管理できる総合システムです。本システムの導入により、複数メーカーの施工機械や測量機器のデータが自動的に集約され、利用者が一つのシステムとして操作することが可能となりました。今回、土工現場で適用し、建設現場の生産性向上と省力化を確認しました。

i-PentaCOL2

図-1 五洋土工情報収集システム(i-PentaCOL)

本システムでは、多様な機器のICT施工情報から自動的にデータを当社のクラウドサーバーに集約させ、さらに各システムを連携することにより、次のことが可能となります。

 

①システム担当職員の負荷軽減

一つのシステムですべてのデータをまとめて処理することで、多数のシステム操作に必要であった労力を減らし、職員の負担を軽減することができます。

②容易な施工情報管理

どこの土をどのくらいダンプトラックに積み、どこに運搬し、どこに盛土したかといった、土工事の施工記録(トレーサビリティー)を簡単に確認することができます。

③効率的な出来形/出来高管理・施工計画への反映

ICTバックホウの刃先の軌跡データやステレオカメラによる地山の測量データから掘削土量が自動算出でき、バックホウ重量計から積込量・運搬台数が把握可能です。さらに、振動ローラに取付けられたGPSの位置情報から平面位置・高さデータから盛土量が分かるため、効率よく切土・盛土の出来形/出来高および土量変化率が管理できます。また、土量配分の管理や計画に反映することができます。

④計測データのリアルタイム把握による迅速な安全管理

当社技術研究所のセンサークラウドにより、風速計や雨量計の観測データを集約、リアルタイムに共有できます。風速・風向や雨量のデータなどから、粉塵対策の実施や工事中止の判断を速やかに行い発信することで、環境の維持や安全確保ができます。

 

また、これらの施工情報、計測データは管理用PCだけでなく、タブレット等でも閲覧可能であり、リアルタイムに関係者へ情報伝達・共有できます。

 

適用事例

今回、延長約11km、土工数量約80万m3の道路工事現場でICTバックホウ1台、ブルドーザ2台、振動ローラ2台を稼動させ、約6,000m3/月の土工事に本システムを運用したところ、2名の担当職員のデータ処理や機器操作に必要な時間を1人当たり1日約1.2時間低減することができました。

 

今後、建設現場の生産性向上と作業の省力化のため、「五洋土工情報収集システム(i-PentaCOL)」を積極的に施工現場へ適用していく予定です。

 

【参考】使用した個別ICT技術の概要

① コマツ社のKomConnectがAPIを提供した最初の事例であり、提供された情報をデータベース化するシステムを構築します。ICTバックホウ(積込作業)の日常の掘削量を把握します。

② UAV測量により、事前・事後の測量から掘削土量を算出してデータベースに登録を行います。

③ トリンブル社のロードライト(バックホウ重量計)により、ダンプトラックへの積込重量を各車測定し土量管理の一部と、積載量管理を行います。

④ ミヤマ社の運行管理システムは、ダンプトラックに運行管理機(GPS)を搭載し、その位置情報から積込場所、荷卸場所の位置・運搬回数から運搬土量の管理を行います。

⑤ GNSSによる盛土の敷均し・締固め管理システム(一般)によりブルドーザをガイダンスシステムで敷均し高に誘導し施工を行います。振動ローラの施工状況を転圧回数・平面位置を画面に表示し面的管理を行います。

⑥ 当社開発のセンサークラウドにより雨量計、風速計、風向計、観測井戸水位計などの環境計測機器をIoT化しクラウドサーバーに観測データを集約します。

⑦ CIM環境は、他のシステムから出力される施工管理データと連携します。

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